地獄のぞき

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地獄のぞき

 房州(千葉県)の鋸山(のこぎりやま)に「地獄のぞき」という場所があります。断崖絶壁に突き出た岩の上から下をのぞく場所のことを言います。その巨岩の絶景と、「怖いもの見たさ」に惹かれて、多くの人々が行列をなして訪れています。(写真) 

 鋸山は、全山が凝灰岩や凝灰岩質砂岩の巨岩で構成されており、日本寺(にほんじ)という寺の境内にあります。境内といっても、10万坪(33万平方メートル)の広大な広さで、千葉県指定の名勝となっており、県内の小学生の遠足をはじめ、多くの観光客が訪れています。寺名は、わが国の国名を冠した「日本寺」となっています。そのゆえんは、西暦725年に聖武天皇の勅詔、光明皇后のお言葉を受け、行基によって開山された関東最古の勅願所とのことです。

 境内には、日本一の高さ31メートル(東大寺の大仏は18メートル)の石でできた「大仏」(薬師瑠璃光如来)のご本尊が鎮座しています。また、山道のあちらこちらにある奇岩霊洞には、「千五百羅漢」が安置されており、その数は、世界第一とのことです。ただ、明治維新の廃仏毀釈により、頭部が無残に切り捨てられている羅漢も多くありました。

 新城市の鳳来寺と日本寺とは、いくつかの類似点があることに気づきました。 

 鳳来寺は、日本寺と同じ年代の703年に文武天皇のご病気ご快癒の際に建立され利修仙人が開山されています。また、聖武天皇のご病気快癒の時、后の光明皇后が「鳳来寺」額(現在、仁王門に掲げられている)を揮毫されたことなど、朝廷との関係も似ています。

 さらに、境内の自然景観においても、鳳来寺山が、松脂岩や凝灰岩からなる巨岩奇石の山で、鷹打ち場や奥の院、屏風岩の先端からのぞく断崖絶壁の様相は、日本寺の「地獄のぞき」に勝るとも劣らないものです。ただ違うのは、観光活用していないだけです。さらに、地獄だけでなく、鳳来寺の場合は、瑠璃山頂(695メートル)から望む光景は、三河湾から南アルプスまで360度の眺望で、「天国のぞき」と言っていいかもしれません。

 標高は、鳳来寺山が684メートルの旧火山であるのに対して、鋸山は、標高329メートルの海底から隆起した山です。標高や起源は異なりますが、石階段の多いことは共通です。急な斜面の石段を難儀して登りました。

 内房線の浜金谷で下車し、鋸山ロープ―ウェイ山麓駅まで歩き、一気に山頂駅まで行き、そこから、「地獄のぞき」、「千五百羅漢」「石大仏」と巡ります。江戸時代からの「安房石」を切り出した石切り場跡の景観も、鋸山の特徴です。山頂からの眺望は、東京湾をはさんで、三浦半島、富士山(曇天で見られなかった)、久里浜、横浜、房総半島と、美しい情景でした。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、源頼朝が、石橋山の合戦で敗れた際に、真鶴岬から鋸南町竜島に渡ったことが思い起こされました。

 

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